12月15日(火)19時公演を下北沢のザ・スズナリで観ました。
1974年に公開された寺山修司の自伝的映画「田園に死す」の舞台化です。
脚色・構成・演出は天野天街、音楽はJ.A.シィザー、企画は流山児祥です。
この舞台の良さをどう言葉で表現すればいいのか、なかなか難しいです。
理性でなく感性で観る舞台なのでしょうか。
とにかく観ても面白い、聴いても面白い、そしてエネルギーを感じさせる、すばらしい舞台でした。
主要なキャストが演技するシーンと大勢のアンサンブルが登場するシーンの転換が何度もありますが、
演技、音響、照明をうまく使ってメリハリのついた転換になっています。
また、各場面でもこれらが相乗的に舞台効果を高めています。
天野天街の構成・演出の巧みさでしょうか。
天野天街は名古屋の人気劇団「少年王者舘」の代表です。
寺山作品の演出は今回が初めてですが、アフタートークの話を聞くと新しいテラヤマ・ワールドを創り上げたようです。
J.A.シィザーはかつて天井桟敷で音楽を担当しました。
寺山の舞台には欠かせないようです。
企画の流山児祥がマイクを持って「ああ上野駅」を歌うなど、本人が何度か舞台に登場して楽しそうに演技しています。
アフタートークがありました。
出席は、九條今日子、笹目浩之、天野天街、流山児祥です。
九條今日子はSKDの出身で寺山と結婚します。
その後離婚しますが、寺山とともに天井桟敷を運営し寺山の創作活動を最後まで支えました。
映画撮影時の裏話やエピソードが紹介されました。
先日観た白羽ゆりの「シェルブールの雨傘」は1964年の映画の舞台化、そして月船さららの「妹と油揚」は1990年の映画の舞台化です。
偶然にも最近観た3作品が映画の舞台化です。
「妹と油揚」の振付は「少年王者舘」の石丸だいこが担当しています。
演劇の世界はいろいろな形でつながっているのですね。
タカラヅカは昨年、舞台を映画化して東京国際映画祭に参加しました。
また、「愛と青春の宝塚」はテレビドラマとして放送され、昨年キャストをOGに替えて舞台化され、さらにこの舞台が映像化されました。
ひとつの作品をメディアを変えて観客に提供するのが新しいビジネスモデルのようです。 |