昨日(14日)18:30公演を紀伊國屋サザンシアターで観ました。
今年4月9日に亡くなった井上ひさしの追悼公演です。
とにかく素晴らしい舞台、特にセリフの美しさと面白さが際立っている舞台です。
膨大なセリフをテンポよくそしてリズミカルに、噛むことなく話すキャストも立派です。
客席にいてとても楽しい気持ちになります。
これは戯曲の面白さだけでなく、演出の巧みさ、そしてキャストのセリフ術が相まっての効果だと思います。
すでにチラシのデザインやスチール写真も作成されていた新作「木の上の軍隊」の執筆を断念し、演目が「黙阿彌オペラ」に変更されました。
その際、演出は栗山民也、五郎蔵役は藤原竜也、というのが井上ひさしの希望だったようです。
舞台は最初から最後まで、蕎麦屋「仁八そば」の店内です。
この店に置き去りにされた少女おせんの成長と店の客五人の人生の浮き沈みが描かれています。
幕末から明治初期の大変革の時代が舞台です。
五郎蔵たちが文明開化の波に乗って銀行を設立してひともうけを企むなか、ひとり黙阿彌(吉田鋼太郎)は「心」が伴っていない単なる西洋の物まねに疑問を感じています。
大金を融資したままその融資先が突然姿を消し銀行はつぶれてしまいます。
五郎蔵たちは無一文になり、「仁八そば」の店先では捨てられた赤ん坊が泣いています。
話は振り出しに戻り幕となります。
休憩15分を含めて3時間30分という長い舞台です。
先月は花園神社境内のテント公演「天保十二年のシェークスピア」は2時間50分でした。
続けて井上ひさしの作品を観ました。
いずれも楽しい舞台ですので時間がたつのを忘れます。
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