盲人書簡 池の下 平成22年3月20日(土)19:00 d−倉庫

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3月20日(土)19:00公演を日暮里のd−倉庫で観ました。
寺山修司の原作です。
宣伝美術・デザインを「寺山修司の弟」森崎偏陸さんが担当しています。
演劇集団池の下は10年ほど前から寺山修司全作品の上演に取り組んでいます。

ラストシーンで「もっと闇を!」というセリフがあります。
寺山は舞台上で「闇」を表現することにこだわったようです。
上演時間は70分ほどでしたが「闇」の占める時間が長かったです。
光がないから闇になるのではなく、闇を表現するために光が使われているように思います。

役者がマッチを擦ってはセリフを話し、マッチが消えると闇になる。
そんなシーンが繰り返されます。
寺山にとっては「闇」の中にこそ「真実」の何かがあるのでしょうか。
光があるから闇が見えない、人の目は光には反応するが闇は見えない。
光も目も闇を見るためには邪魔ものにすぎない。
闇は見えないのではなく、人は闇を見なければならない、それが寺山のメッセージなのでしょうか。

オチのような話になりますが、詩人ゲーテは臨終の際「もっと光を!」と言ったそうです。詩人らしい含蓄のある言葉です。
しかし、本当は「もっと光を、窓のブラインドを上げてくれ!」だったともいわれます。
寺山修司のメッセージは「もっと闇を!」だったのでしょうか。

劇団は違いますが、最近では寺山原作の「田園に死す」、「血は立ったまま眠っている」を観ました。
劇場に行くとたくさんのチラシをもらいますが、いつも寺山の作品が1つでなく複数含まれています。
今なお寺山は小劇場に大きな影響を与えている存在のようです。


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