ザ・パワー・オブ・イエス 燐光群 平成22年5月11日(火)19:00 ザ・スズナリ

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11日(火)19:00公演をザ・スズナリで観ました。
イギリスの劇作家デイヴィッド・ヘアーの原作、坂手洋二の演出です。
いろいろな意味でなかなかユニークな舞台でした。

2008年9月のリーマン・ブラザーズ破産に端を発した世界金融危機を題材にしたドキュメンタリ−タッチのドラマで す。金融・経済の専門用語が飛び交います。
サブプライム・ローン、クレジット・デフォルト・スワップ、ヘッジ・ファンド、レバレッジなど、当時新聞紙上を毎日 にぎわした言葉です。
私は経済の専門家ではないので舞台の展開についていくのが精一杯でした。
しかし、もし金融や経済に興味があるならこの舞台も娯楽作品と感じるのかもしれません。
イギリスのインディペンデント紙は「金融危機を理解したいなら、この芝居を観に行くべきだ。」と評したようです。

作者(デイヴィッド・ヘアー)が金融危機の真相に迫るため多くの関係者に取材をしている場面が2時間の舞台になって います。
作者を演じるのは日本語が達者な外人の役者でした。
投資家のジョージ・ソロス、ノーベル賞を受賞した経済学者のマイロン・ショールズ、アメリカ連邦準備制度理事会の会 長だったアラン・グリーンスパンなどの著名な人物が登場しますが、これらを演じるのは日本人です。
外人に変装はしていませんので、外見に違和感があるのは仕方ありません。
ロンドンの舞台では「そっくりさん大会」的な楽しさがあったようです。

前日が初日でこの日は2公演目でした。
演技らしい演技はありません。
取材する作者との会話、客席に向かっての説明だけです。
役者もセリフをしゃべるのが精一杯という雰囲気でした。
セリフが詰まったり、出て来なかったりしています。
舞台には3本の柱が立ち、奥に3段の階段がありました。
世界金融危機を解説した文庫本を21人の役者がそれぞれの役割に応じて朗読した舞台といえるでしょうか。
普段よく観ている舞台とは違った「役者・セリフ・演出」の雰囲気は興味深かったです。

金融危機では、私も資産を少しでも増やそうと運用していた株や投資信託が値下がって大きな損失を被りました。自分自身の責任であって、証券会社の責任ではないのですが・・・。
企業にしろ個人にしろハイリスク・ハイリターンの魅力に惹かれ、当時はリスクはほとんどないといった雰囲気(証券会 社の説明)でみんな投資していました。
究極のハイリターン・ジャンボ宝くじを楽しむのが健全なのでしょうか?


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