昨夜(8日)、月船さららの「引き際」を赤坂レッドシアターで観ました。
metroの第4回公演ですが、相棒の出口結美子が結婚引退したため、一人metroになっての再スタートです。
当初、作家であり岡本太郎の母親でもある「岡本かの子」を取り上げた作品を予定していたようですが、3・11の大震災の発生を受けて予定が変更されたようです。
プロローグはポーカー・ゲームに真面目に興じている上品な4人の男女が登場します。
誰かが掛け金を吊り上げても誰も降りようとせず、賭けつづけます。
賭けるチップが無くなると服や靴を脱ぎはじめます。
ここで、この作品はコメディだと示しています。
引くに引けない人間は破滅への道を進むしかない。
それは悲劇でもあり喜劇でもあるというのが、この舞台のテーマでしょうか。
プロローグで登場する月船さららはセレブな主婦役で、色っぽかったです。
その後は汚れ役で登場し、歌あり踊りあり、さらに激しいアクションありの大活躍です。
便利で快適であると思っている現代の日常生活を否定した“毒”のある、そして震災や放射能汚染を取り入れた“際どい”ストリーになっています。
エピローグはプロローグと同じポーカーゲームの場面に戻ります。
“引き際”を知らない懲りない哀れな人間の人生が繰り返されるということでしょうか。
この作品は、今の我々の価値観を問い直し、現代社会を痛烈に風刺しているように思います。
この内容を正面から受け止めるには役者も観客も体力のいる舞台のようです。
終演後は、metro恒例のグッズ販売です。
舞台の疲れも見せず月船さららが元気に売り子をやっています。
12日(水)にもう一度観る予定です。
12日の感想はこちら
|