20世紀少年少女唱歌集 椿組 平成24年7月20日(金)、21日(土)、22日(日)
19:00 花園神社境内


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7月21日(金)、22日(土)、23日(日)と3日続けて観劇しました。
境内にテントを設置しての野外劇は27年目だそうです。
今回は9年前に初演された作品の再演です。

トタン屋根のバラック小屋の貧しい家庭で育った4姉妹(冬江・秋江・春江・夏江)とその家族・仲間たちの群像劇です。
「そこに」とどまる人、そこを出て「むこう」を目指す人。
大人と子供それぞれの愛憎、そして苦悩する日々の葛藤が描かれています。

特に主人公がいるわけでもありませんが、少女「みどり」が中心的な存在です。
オーディションで選ばれた青木恵(文学座附属研究所)が演じています。
水商売の母親・冬江を嫌い、汚いこの町を嫌い、少女の目に映る醜い大人の現実の世界に反発しています。
大きくなったら男になって船乗りになることを夢見ながら、女の子たちとは遊ばず悪ガキの少年たちと勇ましい遊びに興じています。
みどりと少年たちは21世紀の自分へ送る品物を入れたタイムカプセルの缶を空き地に埋めます。

青木恵は髪も短くし、セリフを聞いても、本当の少年に見えました。
感情表現も含め、初舞台(?)とは思えないしっかりした演技で求心力のある存在になっています。

プロローグでミシンの訪問販売をする男女が登場します。
実は、女は大人になった21世紀のみどり(伊東由美子)という設定なのです。
昭和の過去と21世紀の現在とが交錯するように場面は展開します。
初老の男(下元史朗)は口下手でセールスには向いていません。
売れないミシンを持ち歩きながら、二人の会話がなかなか切ないです。

エピローグでみどりは、タイムカプセルを開けます。
21世紀の「おれ」宛に書いた20世紀の「おれ」からの手紙。
懐かしく読みながらも、少女時代に見た夢を「思い出」として胸の中にしまいます。

昭和40年代の歌謡曲、当時の流行商品名、サンマを炭で焼く七輪、共同井戸そしてリヤカーの登場など、懐かしい昭和の匂いがいっぱいする舞台でした。


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