10月6日(土)14:00、10月11日(木)14:00公演を中落合のシアター風姿花伝で観ました。
3.11後のひとりの男の日常を描いた人間ドラマです。
放射線量が高いにもかかわらず避難せず一人で暮らしている和夫(稲葉能敬)が主人公です。
和夫は缶ビールを飲みながら怠惰な日々を過ごしているようです。
なぜか若い女性(勝島乙江)が和夫の傍にいます。
そした和夫のもとを、子供と一緒に避難している妻(井上カオリ)、親しい友人、役場の職員、発電所の作業員が訪れます。
ありふれた日常会話で場面は展開します。
だいぶ後になって分かるのですが、和夫の周りの人物は全員震災で犠牲になった人たちなのです。
家族や友人を失い、生きる力を無くした和夫を励ましに来ているのです。
これは和夫の心象風景のようです。
そして和夫は、今でもみんなと強い「絆」で結ばれていることに気づきます。
「絆」を表現したラストシーンは感動的でした。
劇団主宰の矢内文章が、警戒区域に入り盗みを働く空き巣で登場します。
品物を一つ分けてやるという男に、我に戻り怒りを覚えた和夫は、品物を取り返し男を追い返します。
勝島乙江は出番も多く、感情を込めた力強いセリフが印象的でした。
井上カオリは落ち着いた演技で存在感を示しています。
劇場中央に縦長に舞台があり、その両側の客席から観るのも面白いです。
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