10月31日(月)19時公演を三軒茶屋のシアタートラムで観ました。
3年前に初演された舞台の再演です。
大正天皇(西尾友樹)が主人公で、その皇太子時代の青年期から死までの半生が描かれています。
父とはいえ偉大な明治天皇(谷仲恵輔)に対して自分は不肖の息子という意識が強く、苦悩します。
天皇として即位したのちは病魔に侵され、さらに明治天皇を理想の天皇像と考える皇太子(のちの昭和天皇)(浅井伸治)に裏切られます。
松本紀保が大正天皇の妃を演じ、またストーリーテラーとして回想を語りながら場面が展開します。
休憩のない2時間25分、緊張感のある舞台が続きます。
自分なりに新しい天皇のあり方を追求しながらも父(明治天皇)にも子(昭和天皇)にも理解されず、孤独な悲劇の天皇としてその短い治世は終わります。
しかし、神秘性の強い明治天皇とは違い、大正天皇と妃の夫婦愛など温かみのある生身の人間らしさが描かれています。
西尾友樹の、病が進行し歩き方や喋り方が不自由になるリアルな身体表現、松本紀保の妃としての高貴な雰囲気は見ものです。
登場人物はすべて実在していた人々ですが、物語はあくまで作家が創作したフィクションだそうです。
会場は盛況で大勢の立ち見客もいました。
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