夏恒例、新宿・花園神社野外劇を初日(7月13日)と千秋楽(7月24日)に観ました。
原作・鶴屋南北、脚本・立松和平、構成・演出・西沢栄治、22年ぶりの再演です。
伊右衛門を山本亨、その妻お岩を松本紀保、野外劇常連の二人が演じます。
また、お岩の妹・お袖は、椿組の瀬山英里子(偶数日)と今井夢子(奇数日)のダブルキャストでした。
お岩の父は伊右衛門の悪事を知り、お岩を連れ戻しますが、伊右衛門は父を切り殺しその口を封じます。
そうとも知らずお岩は伊右衛門に父の仇討ちを託します。
一方、伊右衛門に一目ぼれした孫娘・お梅(岡村多加江)のために、祖父は良薬と偽ってお岩に毒薬を飲ませ、お岩は醜い形相の顔になったまま息絶えます。
お梅と祝言を挙げた伊右衛門は、お岩の亡霊に惑わされ、誤ってお梅と祖父を切り殺してしまいます。
お袖の悲劇も並行して描かれているので3時間近くの長い舞台でした。
伊右衛門は赤穂・浅野家の浪人、お梅の祖父は吉良家の家臣であり、忠臣蔵の裏話にもなっています。
悲劇が連続するストーリーですが重苦しさはなく、夏祭りのように楽しく見ごたえのある舞台でした。
主役の山本亨と松本紀保は、観客をひきつける求心力のある演技でした。
お袖とお梅そして隠亡堀りに落とされるお梅の乳母(井上カオリ)を演じた椿組女優陣が、存在感のあるいい役で目立っていました。
紙吹雪が舞う中での伊右衛門とお袖の夫・與茂七の殺陣は美しく圧巻です。
例年の野外劇と違って今年は江戸の芝居小屋風の舞台と客席でした。
舞台には水の張られた隠亡堀りや噴水などの仕掛けが有り、花道もありました。
客席は前2列が桟敷風の座椅子席になり、上手と下手には2階席が出来ていました。
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