始まりのアンティゴネ 椿組 平成29年3月2日(木)14:00、3月4日(土)19:00
ザ・スズナリ


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3月2日(木)14:00と4日(土)19:00公演を下北沢のザ・スズナリで観ました。
ギリシャ悲劇をモチーフにした瀬戸山美咲の作・演出です。

会社を経営していた父の自殺をきっかけに、酒に溺れ暴力を振るって周りに迷惑をかけていた次男が自殺した。 家族や関係者の多くは体面を気にして、自殺を伏せて病死として弔おうとする。 ただ妹(占部房子)は自殺は恥ずべきことではなく、隠さず真実を告げるべきだと主張する。 通夜が始まるまでの数時間、家族・関係者18人の激しい論争が続きます。

先に病死した長男の嫁(井上カオリ)が「15年間、無理矢理次男を閉じ込め、その結果として自殺に追いやったのではないか」と発言します。 これをきっかけに論争の流れが変わります。

登場人物18人の個性が丁寧に書き分けられていて、それぞれに存在感が明確です。 中でも、自殺を隠そうとする叔父(佐藤誓)と妹は鋭く対立し、二人の迫力のあるやり取りは見ものです。 死をテーマにした重い内容ですが、風太郎(外波山文明)一家4人のコミカルな演技が雰囲気を和らげ息抜きの役割を担っています。 キャストが居間で座ったままでのセリフが多く、観客も客席で論争に参加しているような臨場感がありました。

ギリシャ悲劇は関係者が次々と死んでいきますが、この作品では新たな死者は出ず、ホッとする結末でした。


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