4月3日(月)13時公演を下北沢のGeki地下Libertyで観ました。
井上ひさしの作品で、20年前にオープンした新国立劇場のこけら落しとして初演されました。
昭和20年、原爆投下直前の広島で移動演劇さくら隊による「無法松の一生」の上演は明後日に迫っていました。
さくら隊のリーダーは「新劇の団十郎」と呼ばれていた名優丸山定夫(高橋ひろし)と宝塚少女歌劇出身の大スター園井恵子(鹿沼未来)の2人。
しかし、ほかの7人はたまたま宿舎にいた全くの素人、紙屋町さくらホテルでにわか仕立ての劇団員を相手に必死の稽古が続いています。
戦時中は演劇も国民の士気高揚のため国家の統制のもとに置かれました。
キャスト9人は、この厳しい時代にも芝居への情熱を捨てずにいた2人の演劇人、また偶然、芝居に出会い芝居に魅入られた素人7人を熱演しています。
登場人物の熱い思いに観客は胸を打たれ、涙する人も多いです。
園井恵子役の鹿沼未来(90期 宝塚では花風みらい)はピッタリの配役でした。
素人に教えるために、宝塚のオーバーな動きの演技と新劇の演技との違いを実演していました。
桜隊は実在し、丸山定夫も園井恵子も実在の人物ですが、爆心地に近い宿舎で被爆し命を落とします。
この物語は、原爆の犠牲となった多くの人びとへの鎮魂歌、芝居に命を懸けた演劇人への賛歌、そして戦争の愚かさを問いかける作品になっています。
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