舞姫 花組 平成20年3月15日(土)11:00 18日(火)18:00 日本青年館


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昨年6月のバウホール公演の東京再演です。
バウ公演の評判が高く楽しみにしていました。評判にたがわず、特にエリス役の野々すみ花は研3 とは思えない完成度の高い演技でした。入団時から抜擢されていますが、いずれも期待に応えてい ます。娘役トップになる日も近い逸材だと思います。15日と18日の2回観ました。

愛音羽麗(太田豊太郎)はエリスへの愛情と官僚としての義務感の板ばさみになり、一度は官 位を捨てエリスを選びますが、明治国家建設のため苦渋の中帰国を決意します。その心理的葛藤を 巧みに演じています。
「アデュー・マルセイユ」では娘役でしたので、今回男役としての実力を十分に発揮しています。

野々すみ花は裏声のような発声で薄幸の少女を情感をこめて演じていました。豊太郎の友人の 未涼亜季は15日は2回セリフを噛んでいましたが、歌のうまさが光りました。豊太郎と同じ留学 生の日向燦は気の小さい青年役をコミカルに演じて会場の笑いを誘い、シリアスな舞台の雰囲気を 和らげています。

脚本・演出は植田景子先生です。1998年の「イカロス」の演出がデビューですが、この時 安蘭けいの不思議な魅力を演出しました。演出家として生徒を輝かせる方法を心得た人だと思いま す。今回は悲劇の結末であり、どちらかと言えば重いテーマの舞台ですが、的確な演出とそれに応 える生徒の熱演が、芸術性の高いそして見応えのあるすばらしい公演になっています。舞台装置も きわめてシンプルで飾りなどは一切省いて、心理劇としてもふさわしい空間になっています。


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