12月3日(木)19:00、初日の舞台を新宿の「SPACE雑遊」で観ました。
metroの第2弾公演です。
1990年の映画を天願大介監督が自ら舞台化した作品です。
客席は4段で70〜80席ぐらいでしょうか。
最前列は舞台との距離がほぼゼロに近い状況です。
ただ最前列は長椅子で背もたれがないので、私は2段目のパイプ椅子に座りました。
以下、舞台の具体的な内容に触れています。
舞台には、流しや冷蔵庫、本棚があり普通の家庭のようですが、なぜか壁には6個もの掛け時計が無造作に並んでおり、単なるホームドラマではないことを暗示しています。
登場人物がサウナに入る場面があるのですが、舞台から突き出した形でスノコになった部分が作られています。
旗揚げ公演は驚きの対面式の客席でしたが、小劇場では小さな空間を、舞台としてまた客席としてどのようにレイアウトするのかも見どころの一つのように思います。
metroの公演はいつも客席を詰めすぎる!ようです。
妖怪イヅナに取り憑かれた妹京子(月船さらら)の不気味な踊りで舞台は始まります。
期待どおり?のカルト的雰囲気で始まりました。
旗揚げ公演の先入観もあったのですが、最後まで「おどろおどろしい」雰囲気だと思って(期待して?)いました。が、意外にもコメディ色の強い楽しい舞台になっていました。
プログラムには「ホラー、エロス、シュール、そしてコメディ」とあります。
月船さららのウェディングドレス姿を見ることができ美しかったです。
出口結美子は映画にはない配役です。
変態男が好きという変態女を演じています。その美貌とのギャップが面白いです。
また昔の人気テレビ番組「キーハンター」の主題歌「非情のライセンス」を歌います。
本人は「やっていて楽しい」と語っていますが、本当に楽しそうでした。
妖怪イヅナ(鴇巣直樹)のメーキャップがリアルに不気味でした。
映画版でもイヅナを演じています。イヅナも20年、歳をとったのでしょうか。
なぜか青森弁です。京子が離婚する前に住んでいたのが「八戸」です。
ある場面では兄(寺十悟)以外全員が青森弁で訛っています。
他にイヅナを退治しようとする2人が登場します。
「椿組」主宰の外波山文明、寺山修司の「天井桟敷」にいた若松武史です。
「大きなカマスに七カマス」というセリフのある場面があります。
客席では、どうしてこのようなセリフと動作があるのか分からなかったのですが、プログラムに解説がありました。戦前の農村の正月行事としてあった風習のようです。
豊穣と夫婦円満の祈りのようです。
今回の驚きですが、ミュージカルのような群舞がありました。
振付は名古屋の人気劇団「少年王者舘」の石丸だいこが担当しているようです。
最後の方の場面では、ちゃぶ台の上にカセットコンロを置き本当に油揚や野菜を入れた鍋を囲んで食べています。
旗揚げ公演は本当にシリアスでしたが、とにかく今回は楽しくて面白いコメディと感じました。
プログラムの中で月船さららは、「「陰獣」が終わった後、役者として、metroとしてモチベーションを維持するには、何かハードルが必要でした。全然違うタイプの作品に取り組むのは、ちょうどいいハードルになるって思ったんです。」と語っています。
この前向きな意気込みには感動するくらい感心しました。
やはりチラシのような場面はありませんでした。
公演後、舞台にグッズを並べてmetroの二人が販売します。
月船さんに挨拶をして、旗揚げ公演「陰獣」のDVDを買いました。
次は12月9日に観る予定です。 |