「劇団、本谷有希子」の第14回公演です。
8月12日(水)19時公演を仲間と下北沢の本多劇場で観ました。
夏目家にかかわる6人の女性の「生きざま」が生々しく描かれています。
夏目家の失踪した当主の妻(木野花)
夏目家の長男の妻(松永玲子)
夏目家の失踪した二男の妻(りょう)
夏目家の家業・麩揚げ場で働く女、義父に想いを寄せる(羽鳥名美子)
夏目家の家業・麩揚げ場で働く女、男は誰でも拒まない(吉本菜穂子)
夏目家の近所に住む女子高生(佐津川愛美)
本谷有希子(作・演出)の舞台を観るのは初めてです。
登場人物の人物像や条件設定がはっきりしていて、その点はわかりやすい舞台です。
しかし、非現実的な面もあり、なぜそのような人物像や条件設定にしたのかはわかりません。
作家の頭の中にはあるのでしょうが、舞台では問答無用の前提条件になっています。
このため、6人の「生きざま」に共感する点もあるのでしょうが、感情移入は難しい舞台です。
私が男性であるからかもしれませんが。
りょうはもともとファッションモデルです。
顔も小さく外形や身のこなしは他の5人と明らかに違っています。
義母や長男の妻の仕打ちにも「問題から逃げるのでなく問題に向き合い乗り越える」気持で適応していきます。
「蓉子」は一応主人公のような役ですが、といって他の5人が脇役でもありません。
互いの会話の中で6人6様の「生きざま」が明らかになります。
ストーリーはあるのですが、それほどメリハリはなくドラマチックでもありません。
ラストでは義母が発狂し、蓉子は義母を連れて夏目家を出て行きます。
必然性があるのでしょうか?
巨大な鳥小屋、そこに棲む孔雀のつがい、家業の麩揚げ場、夏目家の周囲を囲む鉄条網、近所の寄り合いでの食中毒など舞台上に現われないものも含め様々な設定があるため、ストーリーに求心力がなく散漫になっています。
客席にいても焦点が捕まえにくい感じがします。
このためストーリーの面白さを味わうような作品ではありません。
その場の会話を味わう舞台なのでしょうか。
そもそもストーリーに現実性や必然性を求めようとする私自身が「小劇場」の舞台の見方をしていないからかもしれません。
今回は初めてでしたのでこのような感想しか書けないのですが、これからの舞台も観てみたいと思っています。
プログラムに載っている本谷有希子の写真をみて驚きました。
最初は別人かなと思いました。とても可愛いのです。7月に30歳になりました。
4年前の演劇雑誌の座談会の写真を見ていたからです。
もちろん美人なのですが、ごく普通の外形です。
プログラムでは茶髪に染め前髪をおかっぱにして可愛いイメージに変身していました。
もし今回芥川賞をとっていればきっとアイドル的存在になっていたと思います。
会場で芥川賞の2度目の候補になった「あの子の考えることは変」を販売していました。
サイン入りです。「もとやゆき子」をデザインしたかわいいサインです。 |