今日、毬谷友子(66期)のひとり語り「弥々」、14時公演を観ました。
後に良寛となる若者の初恋の人だった弥々(やや)の人生を、弥々の娘が語るというひとり芝居です。実父・矢代静一晩年の代表作です。
上演時間は1時間20分ほどでした。前半では朗読する部分もありました。
弥々の16歳から72歳までの波乱の生涯を演じています。
「初めてお目にかかります、良寛様。私は弥々の娘でございます。」という冒頭の有名なせりふで舞台は始まります。
もちろん良寛が目の前にいるわけでなく、すでにこの世の人でもありません。
ひとり語りを聴く観客が「良寛」になり、良寛として自らの過去を追体験することになります。
舞台には衝立のようなものが一枚あるだけ、衣装もシンプルです。
しかし、若々しい娘から老女まで、せりふ力、演技力で見事に演じ分けています。
弥々のたくましい強さが観客に伝わって来ます。
今回3年ぶりの舞台ですが、1992年の初演以来、17年演じ続けており毬谷友子のライフワークになっています。
話はそれますが、実父・矢代静一は同世代の三島由紀夫とともに文学座に参加します。
三島の戯曲「喜びの琴」が杉村春子の反対で上演中止となり、このため三島と共に文学座を去ります。
矢代静一は杉村春子より21歳年下です。
弥々の一生を描いたのは、杉村春子の代表作「女の一生」への対抗心もあったのでしょうか。
また、熱烈な男性タカラヅカファンでした。
絵麻緒ゆうは姪にあたります。
赤坂レッドシアターは、180席ほどの小劇場です。
会場には「えまお」からの花も飾られていました。 |